「カディカル」さんは、沖縄島唄では知らない人のいない歴史的なシンガーでした。
故・照屋林助さん、今も現役の登川誠仁さん…3人そろって戦後の沖縄歌謡の巨人、いや怪人たちと言っていいかも知れません。中でもカディカルさんは一番年上であり、ヤマトでは「神さま」とまで呼ばれた大きな存在でした。
そんな人物の(実にユニークな)横顔を、そして彼の歌の「ありか」を、私なりにさぐってみたのがこの『忘れ得ぬカディカル』です。
二〇〇一年十一月四日に開催された「…三線と共に… 嘉手苅林昌追悼公演」をきっかけに、書いた作品です。
(藤田正)
もくじ
一 頭突きは親愛のスペシャル・サービス
二 カディカルよりほかに「神」はなし
三 十四歳から年季奉公に出た「ハタラチ イキガ」
四 南洋行き農夫募集・至急申し込みなさい!
五 魂をどこかに落としてしまったような日々
六 オイラのような男に、惚れちゃいけないよ
七 二時間ぶっ続けにうたっても同じ歌はナシ
八 三線一挺だずさえて、プイと出てからもう二年
九 鍛え抜かれた名手名人たちの「朝練習」
十 世代わり激しき沖縄よ、かくも珍しきウチナーよ